新人スタッフ斉田新人スタッフ斉田

スタンプ(印鑑)を押すのにオススメの用紙は「上質紙」です!
「上質紙」には、紙の表面に光沢を出すための塗料が塗られてないため、スタンプのインクを吸収しやすい紙になっています。

以下のような、よくお店でもらうスタンプカードの多くは「上質紙」が使われています。

stamp-card

上質紙
紙の素材である、繊維(パルプ)の自然な質感を活かした用紙。
紙の表面は薬剤でコーティングされていないので、ザラザラしており光沢はない。

では、上質紙以外の用紙は、スタンプを押すのにはまったく向いていないのでしょうか?

もちろん答えとしては、「用紙によってそれぞれ違う」となります。
例えば、弊社の「マットコート用紙」の説明には、以下のキャプチャ画像のように「スタンプの適性【△】」と書かれています。
しかし、実際にスタンプを押してみないことには「スタンプの適性【△】」といわれても、滲み具合や乾き具合までは、判断しづらいかと思います。

マットコート紙スタンプ△

そこで、弊社で取り扱いのある印刷用紙に実際にスタンプを押して、滲み具合や乾き具合を撮影し「それぞれの印刷用紙にスタンプを押すとどのようになるのか」をお伝えすることにしました。

検証結果は、ひとつずつ写真を撮影してコメントをしたものと、以下の表のようにまとめました。

表画像※クリックでPDFが別ウィンドウで開きます。

印刷用紙は26種類、スタンプ(印鑑)は水性・油性など計4種類を用意し、「滲み具合」と「乾き具合」の良さから「○ 、△、×」と三段階の評価をで記載しています。

「○ 、△、×」の記号の意味

  • ○・・・滲み、乾きともにOK
  • △・・・滲みか乾きどちらかNG
  • ×・・・滲み、乾きともにNG

あなたが印刷に使おうとしている用紙はどんな結果になったでしょうか?
「スタンプがすぐに滲んでしまう・・・」「インクが全然乾かない印刷用紙だった・・・」というがっかりな失敗をしたくない方はぜひチェックしてみてください!

確認したい用紙が決まっている方へ

すでに見たい用紙が決まっている方は、各用紙の検証結果へすぐにとべるリンクをご用意いたしましたので、以下をクリックしてご確認ください。

定番紙
コート紙マットコート紙上質紙
スタンプカードによく使われている用紙
ミラ—マット紙(ウラ面)ミラ—マット紙(PP加工された面)
特殊紙【塗工紙】
ハイマッキンレーポストハイマッキンレーマットポストサテン金藤ヴァンヌーボVGMr.BミセスB-FスノーエッセンスCOCキラクロコグロス
特殊紙【非塗工紙】
ザラクラフトブンペルクラフトブンペルソイルマシュマロアラベールマーメイドしこくてんれい
その他の用紙
ミラーケントアートタック台紙

全検証結果のまとめ表はこちらです。

印刷用紙26種類×スタンプ4種類の結果

では、各用紙の実際の検証写真をお見せしつつ、スタンプを押した時の特徴をコメントしていきます。
具体的な検証方法についてもお伝えしますので、少し長くなってしまいますが、ご確認いただけると嬉しいです!

「にじみ具合」「乾き具合」を確認するための調査方法

スタンプを印刷用紙に押した際の「にじみ具合」「乾き具合」を調査するための方法は、「“スタンプを押した直後”と“スタンプを押した5分後”で、それぞれティッシュでこすって確認する」です。

この「スタンプを押してこすった後の結果」をすべて撮影しました。

検証画像

使用したインクの種類

以下の4種類のインクを使いました。

テストした4種類のインク

1.朱肉
定番の朱肉の印鑑です。
2.水性顔料インク
いわゆるシャチハタのスタンプ。
飲食店などのスタンプカードに押す時に使用されることが多いですよね。
3.油性顔料インク
朱色以外のインクを使いたい時用のために用意しました。
※用意したものは、印面にインクが多く付着するタイプでした。
4.速乾溶剤性
プラスチックや金属、皮革など変わった素材に押すことができるインク。
画材屋などで1,000円前後で売っています。

それでは、実際の検証結果の写真を見ていきましょう。

定番紙3種類の結果

まずは「定番紙」から見てみましょう。
定番紙とは、基本的にはどの印刷会社でも取り扱いがある「上質紙」「コート紙」「マットコート紙」の3種類のことを指しています。
(各用紙の説明を詳しく知りたい場合はこちらの記事をご確認いただけると幸いです)

1. 上質紙
上質紙
2. コート紙
コート紙
3. マットコート紙
マットコート紙

最初に説明した通り、「上質紙」の表面にはツヤを出す加工が施されていないため、油性インク以外はすぐに乾きスタンプがキレイに写っています。

また、コート紙やマットコート紙は、押した直後にティッシュでこすった結果は滲んでいますが、5分経つと油性インク以外はかすれていないので、「約5分しっかりと乾かせば、油性以外のスタンプは押すことができる」ということがわかります。

スタンプカードでよく使われるミラーマット紙3種類の結果

スタンプカードによく使われるミラーマット紙は、オモテを「ミラー面」、ウラを「マット面」といい、それぞれ異なる紙質になっています。
(オモテには強い光沢が出る特殊な加工がされているため、「ミラー面」といわれます)

PP加工とは
印刷物の表面に「PPフィルム」を圧着させる加工のこと。
「PP」とは「Poly-Propylene」の略で、プラスチックやビニール包装に使われている素材です。
「PPフィルム」にはツヤのある「コート(グロス)PP」とツヤ消しされた「マットPP」の2種類があります。

では、それぞれ結果をみていきましょう。

1. ミラ—マット紙(オモテ)+ コートPP加工
PP加工面
2. ミラ—マット紙(オモテ)+ マットPP加工
マットPP加工面
3. ミラ—マット紙(ウラ)
ミラ—マット紙

オモテはPP加工が施されているため、基本的に時間がたってもインクが乾かず、うまく写りません。
唯一、速乾溶剤性のインクのみは、5分乾かせば擦ってもかすれないようになります。

対して、ウラ面は上質紙とほぼ同様の結果です。
油性インクを押した直後のものだけは、かすれてしまいますが、基本的にどんなインクとも相性がよく、スタンプを押すのに適しています。

特殊紙の結果

続いて、「特殊紙」の検証結果を紹介します。
「特殊紙」とは、紙自体に着色したり、模様を描いたりしている特殊な加工を施した用紙のことです。

spe

特殊紙

紙自体に着色や模様などの、特殊な加工を施した用紙。
雪のように白い“アラベールスノーホワイト”や、ワニ皮模様の“クロコグロス”という名称の用紙があり、製紙メーカーがそれぞれ独自に開発している。

この特殊紙は、以下の2種類に分けることができます。

  1. 表面に塗料が塗られている「塗工紙」
  2. 塗料が塗られていない「非塗工紙」

「塗工紙・非塗工紙」は種類が多いので、検証写真ごとにそれぞれ解説コメントをしていきます。

表面に塗料が塗られている特殊紙「塗工紙」9種類の結果

基本的に「塗工紙」は、紙の表面に塗られている塗料の影響でインクが染み込みにくいため、総じて「スタンプを押すには不向きな用紙である」という結果になりました。

1. ハイマッキンレーポスト

ハイマッキンレーポスト

「ハイマッキンレーポスト」は少し青みがかった白色の用紙です。
表面に塗られた塗料により、スタンプは少し押しづらいのですが、5分きちんと乾かせばインクがのりました。

2. ハイマッキンレーマットポスト

ハイマッキンレーマットポスト

「ハイマッキンレーマットポスト」はハイマッキンレーポストよりも表面の光沢が抑えられた用紙です。
ハイマッキンレーポストと比較して、スタンプの乾き具合に差はありませんでした。

3. サテン金藤

サテン金藤

「サテン金藤」は女性のドレスなどに使われる、光沢のあるサテン生地のような用紙です。
インクの乾き具合はハイマッキンレーポストと同様ですが、つるつるしていてスタンプを押そうとすると滑りやすいので注意が必要です。

4. ヴァンヌーボVG スノーホワイト

ヴァンヌーボVG

「ヴァンヌーボVGスノーホワイト」は塗工紙には珍しい、少しざらつきのある用紙です。
油性インクに関してはかなり滲んでしまっていますが、塗工紙の中では、比較的スタンプは乾きやすい印象でした。

5. Mr.B スーパーホワイト

MrB

「Mr.B」は、光の反射で見る角度によっては表面が少し波打っているように感じる用紙です。
手触りはつるつるで、紙の質は上質紙に近いのですが、塗料が塗られているため、時間をおいてもインクは乾きづらいです。

6. ミセスB-F スーパーホワイト

MrsB-F

「ミセスB-Fスーパーホワイト」はMr.Bよりも光沢が少し強い用紙。
Mr.Bよりもさらに乾きが悪く、インクが滲んでしまいます。

7. スノーエッセンス COC キラ

スノーエッセンス

「スノーエッセンスCOCキラ」は真珠のような輝きと質感をもつように加工された用紙。
インクの乾き具合は塗工紙の中では早いほうですが、光が反射しやすいため、写真のように、見る角度によってはスタンプのインクの色が薄く見えてしまいます。

8.クロコグロス【オモテ】& 9. クロコグロス【ウラ】

クロコグロス表クロコグロス裏

「クロコグロス」はオモテはワニの背中のようにデコボコ、ウラはつるつるといった特殊加工が加えられた塗工紙です。
スタンプを押すと、オモテ面は凹凸の影響でインクの途切れや滲みが起こり、ウラ面もつるつるしているため乾きが悪く、インクとの相性は最悪かもしれません。

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どの塗工紙もインクの乾きは悪く、また印鑑を押しても滑ってしまうことが何回も発生しました。
ということで、塗工紙をスタンプカードにするのはオススメできません。

塗料が塗られていない「非塗工紙」8種類の場合

特殊紙のうち「非塗工紙」は、表面に薬剤が塗られていないためインクの吸収力が高く乾きやすいことから、スタンプ向きの用紙といえます。

1. ザラクラフト

ザラクラフト

「ザラクラフト」は薄手のクラフト紙です。
瞬間から紙がインクを吸収し、すぐに乾いていきます。
用紙の色の影響で、スタンプが元の色よりも暗くなるのも特徴です。

2. ブンペルクラフト

ブンペルクラフト

「ブンペルクラフト」はザラクラフトより厚手のクラフト紙で、スタンプがとても乾きやすいです。
「ザラクラフト」同様、用紙の色により、スタンプそのものの色が暗くなります。

3. ブンペルソイル

ブンペルソイル

「ブンペルソイル」は薄茶色のクラフト紙です。
ザラクラフトやブルペンクラフトに比べて、スタンプの色の変化は少ない印象です。
また、インクの乾きも早いので、スタンプカードとして使うのにオススメの用紙です。

4. マシュマロ

マシュマロ

「マシュマロ」はつるつるとした手触りが特徴の最高級上質紙
インクはとても乾きやすく、今回の検証で一番スタンプと相性が良かった用紙です。

5. アラベール スノーホワイト

アラベール

「アラベールスノーホワイト」はざらざらとした手触りを持つ、画用紙を思わせる質感の用紙。
細かい絵柄のスタンプを押した場合、若干線がつぶれた印象になるので、スタンプを強く押しすぎないように、注意が必要です。

6. マーメイド スノーホワイト

マーメイド

「マーメイド」はデコボコとした表面が特徴的な用紙。
インクの乾きは早いのですが、デコボコした表面によりインクの濃淡が出やすく、まっすぐ正確にスタンプを押さないと、画像のようにインクが途切れてしまう場合があります。

7. しこくてんれい【オモテ】& 8. しこくてんれい【ウラ】

しこくてんれい表しこくてんれい裏

「しこくてんれい」は和紙の風合いを持つ用紙で、両面ともスタンプは乾きやすい印象でした。
ただ、押した瞬間から用紙にインクが広がるため、比較的滲みやすい用紙といえます。

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非塗工紙はインクの乾きが早いものが多く、基本的にどの用紙もスタンプとの相性は良かったです。
ただし、インクが染み込みやすいため、強い力でスタンプを押しつけてしまうとにじむので、押す力加減には注意が必要です。

その他の用紙3種類の結果

最後に、「その他の用紙」として、オモテとウラで塗工紙・非塗工紙が組み合わさった用紙や、ステッカーの台紙なども検証しました。

1. ミラーケント【オモテ】& 2. ミラーケント【ウラ】

ミラーケント表ミラーケント裏

「ミラーケント」はオモテは塗料が塗られているため、インクが乾きにくいのですが、ウラはインクが乾きやすいので、スタンプカードによく利用される用紙です。

3. アートタック台紙

アートタック台紙

ステッカーの台紙である「アートタック」はインクの乾きが早く、問題なくスタンプを押すことができました。

まとめ

いかがでしたか?
非常に長くなってしまいましたが、以上で26種類の用紙、全ての結果をご紹介しました。

「量が多くて、全部確認出来ない・・・」

という方は、以下にまとめ表を作らせていただきましたので、ご確認いただければ幸いです。

表画像※クリックでPDFが別ウィンドウで開きます。

表の結果に記したとおり、スタンプとの相性が一番良かった用紙は「マシュマロ」でした。
マシュマロは、シルクのような滑らかさと新雪のような白さが特徴の最高級上質紙。
塗工していない用紙の中では世界最高水準のなめらかな紙の手触りとハリ感が特徴です。

そのため、インクの乾く速度も圧倒的に速く、他の用紙にはない弾力性でスタンプを押しても滑りにくいため、非常に心地よくスタンプを押すことができます。

逆に、一番スタンプと相性が悪かったのは「クロコグロス」です。

マシュマロとクロコグロス(オモテ)の結果を並べたもの

マシュマロクロコグロス表

「クロコグロス」はオモテとウラ、どちらの面もインクが乾きにくく、スタンプを押す際に印鑑が滑って滲みをさらに引き出すため、スタンプカードにするには不向きな用紙といえます。

新人スタッフ斉田新人スタッフ斉田

私の試した結果は以上となるのですが、インクの付着量によって、押しやすさは異なります。
「自分のもっているスタンプや印鑑で押せるかを実際に試してみたい!」と思われた方は、ぜひ用紙のサンプルをご請求ください。

無料サンプル請求のページの備考欄に「スタンプ試します」と入れていただくと、斉田の励みとなり嬉しく思います。

なお、キングプリンターズの「スタンプカード印刷」のページでは、スタンプカードの使い方のヒントをはじめ、ポイントカードに記載する「注意事項」などの文例集に、お役立ち情報が目白押し!
さらに、「スタンプのマス目のデザインテンプレート」もご用意しているので、そちらもぜひチェックして頂けると嬉しいです!