円形ステッカーの作り方は、実は印刷会社により異なります。
というのも、「円形ステッカー」と一言でいっても、印刷会社によって様々なタイプがあるからです。
「様々なタイプ」とは、具体的には以下の3種類です。
- ステッカーも台紙も円形になっているタイプ
- 同じ台紙にいくつものステッカーがついているタイプ
- 台紙は四角、ステッカーは円形のタイプ
ちなみに、弊社キングプリンターズの場合は、以下の画像のような「3.台紙は四角、ステッカーは円形のタイプ」をご注文いただけます。
ということで今回は、キングプリンターズで注文できる「台紙は四角形・ステッカーは円形のタイプ」のステッカーの作り方をご紹介します。
さらに、一般の方はあまり見ることがない、実際の制作現場の裏側もお見せしたいと思います!
円形ステッカーのデータ作成で注意すべきポイント
円形ステッカーを製作するにあたり、まずは「データ」の作り方から説明します。
基本的には他の印刷物を注文する場合と同様、印刷データを作成し入稿していただく必要があります。
その入稿データを作成する際、他の印刷物と比べて、起きやすいデータ不備があります。
それは、「塗りたし」を忘れることです。
塗りたしを忘れやすい2つのポイント
この、「塗りたしを忘れること」とは、印刷データ内にカット時用の「塗りたし」をせず、注文するサイズの実寸(ピッタリのサイズ)でデータを作成してしまうことです。
円形ステッカーを作成する際に、塗りたしを忘れやすいポイントは以下の2つです。
1. 四角形のフチ部分の塗りたし
四角形のフチの部分の塗りたしは、通常の印刷物を注文する際にも必要な塗りたしです。
印刷物は、大きな用紙に印刷された後に「断裁(カット)」されて、実際のサイズに仕上げられます。
この断裁作業は、どうしても1〜2mmのズレを生じることがあるため、断裁がズレた際にもデザインに影響がないよう、印刷データを作成する際は、上下左右に3mmずつ塗りたしをつける必要があるんです。
2. 円形のフチ部分の塗りたし
四角形のフチ部分の塗りたし同様、円形のフチ部分もズレを目立たないように3mmの塗りたしをしなければなりません。
塗り足しがない場合のイメージ
塗り足しがある場合のイメージ
塗り足し以外に注意するデータ作成のポイント
また、塗り足し忘れ以外にステッカーデータに多い不備は、以下の2つになります。
- 1. 仕上がり線のギリギリの位置に文字やイラストを配置してしまっている
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先ほどお伝えした通り、ステッカーのカットは1〜2mmほどズレてしまう場合があるため、仕上がり線ギリギリの位置に重要な要素がデザインされていると、断裁時に途切れる可能性があります。
そのため、仕上がり線の内側3mmには、デザイン上、重要な文字やイラストは配置しないようにしましょう。 - 2. 文字(フォント)のアウトライン化忘れや画像の埋め込み忘れ
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文字(フォント)のアウトライン化や画像の埋め込みがされていないまま入稿すると、印刷会社側のPCでは画面に表示されないため印刷できなくなります。
なので、必ず文字(フォント)はアウトライン化し、画像は埋め込むようにしましょう。
※ただし、印刷会社によっては、リンク画像を推奨しているところがあります。
その場合は、データ作成時に使用した画像を、Illustratorファイルと同じフォルダ内に入れて印刷会社に入稿する必要があります。
詳しくはこちらをご確認ください。
詳しくは弊社コンテンツ「完全データへの道」の記事、「第1回:文字のアウトライン」「第4回:画像の埋め込み」をご確認いただければ幸いです!
データ不備になってしまうと、印刷会社は印刷することができません。
データを修正して再度入稿しなければならなくなり、納品日が遅れてしまうので注意してくださいね。
このようなデータ不備を未然に防ぐ一番の方法は「注文する印刷会社のテンプレートを使用する」ことです!
各印刷会社の、塗りたしなどの「注文時のルール」がわかることで、その他のデータ不備も防ぐことにも繋がります。
また、印刷データ完成後「不備がないかどうか?」のセルフチェックには、下記の「入稿前チェックシート」がオススメですのでぜひ活用してみてください。
【参考】ネット印刷で名刺印刷を失敗しない!完全データ入稿するための6つのルール
台紙の裏側にデザインできるステッカーもある!?
ということで、今回作成するステッカーの印刷データは以下になります。
ちなみに、弊社キングプリンターズではウラ面(台紙の裏側)にも印刷できますので、今回ウラ面のデータもしっかりと作成しました。
(なお、すべての印刷会社がステッカーのウラ面印刷にも対応しているとは限りませんので注意してくださいね)
ただ、この裏側は台紙の色である「黄色味がかった色」になるので、見せるデザインよりも、伝えたい「情報」を記載するのがオススメです。
データ作成に関する注意点はこれくらいにして、ここからは印刷会社の実際の製作現場をご紹介していきます!
ステッカー制作工程と製作現場のご紹介
ステッカーは、制作される際、おおまかには下記工程で仕上げられています。
- アートタック(ステッカー用紙)に印刷データを印刷する
- 印刷された用紙の表面にPP(ポリプロピレン)フィルムという透明フィルムを圧着する
- ステッカーの形に仕上げる
ここでは、上記工程の中の「3.ステッカーの形に仕上げる」という作業を紹介します。
弊社、キングプリンターズの円形ステッカーは「台紙を残してステッカー部分だけカット」する「ハーフカット」という加工によって円形部分がカットされ、その後、断裁機で台紙を四角の形に裁ち落として仕上げます。
以下の写真に写っているのが、その「ステッカーを円形にハーフカットする機械」です。
THERM-O-TYPE NSF A3
この「THERM-O-TYPE NSF A3」という機械、実はハーフカットだけでなく、印刷物にキラリと輝く箔をつける「箔押し加工」や、凹凸をつける「エンボス加工」までできるというスグレモノです。
ではここからは、そんなスグレモノの機械で、ハーフカット加工される仕組みをご覧いただきます!
上記の赤枠で囲った部分が開き、ステッカーを円形に切り抜く「型」を取り付ける板が取り出せるようになっています。
上記写真が取り出した板で、この板の部分に型を取り付けてハーフカットを行います。
ちなみに型は、上記のオレンジ色のクッションの間にセットされています。
型をセットすると、機械の下側から圧力がかかり、用紙が型に押し付けられてカットされます。
文字による説明だけだとわかりにくいかと思いますので、ハーフカットされる様子をGIFアニメにしてみました。
ハーフカットの様子
ハーフカットの様子(断面図バージョン)
なんだかこのGIFアニメーション、ずっと見ていると眠気が襲ってきそうですね・・・(汗)
ちなみに、実際の機械のスピードは1分間に約60枚カットされるスピードで動きますので、かなり早いです!
完成したステッカーはこちら
さて、作成したステッカーの実物をお披露目します。
完成したステッカーを見ると、いろんなところについ使いたくなりますね。
そういえば子どものころ、ステッカーを家の壁に貼って怒られました・・・(汗)
まとめ
いかがでしたか?
今回の質問は「円形ステッカーの作り方」という事で、円形ステッカーのデータ作成方法と合わせて実際の制作現場もご紹介しました。
この記事を読んで「オリジナルのステッカーを作ってみたい!」と思った方は、“データ不備”を未然に防ぐテンプレートを、ぜひ活用していただけると嬉しいです。
また、「円形ステッカーの値段を知りたい!」「すでに印刷データの作成したのでステッカーを注文したい!」という方は、こちらのステッカー商品ページをご利用いただければ幸いです!