新人スタッフ斉田新人スタッフ斉田

「製本」とは印刷物を「冊子」の形にすることです。
製本の種類は、綴じ方によって決まり、ネット印刷で注文されているものとして多いのは、ホチキスで綴じられている「中綴じ」と、接着剤で綴じられている「無線綴じ」の2種類の綴じ方で仕上げられた冊子になります。

中綴じと無線綴じ、どちらの綴じ方が使用されているかは、ページの量によって分かれることが多いです。
64ページぐらいまでのものには「中綴じ」、144ページぐらいまでのものには「無線綴じ」がよく使われています。

中綴じ無線綴じ

冊子は綴じる素材・箇所によって製本方法が異なります。印刷会社の取り扱いが多いものを「綴じる素材」で分類すると、以下になります。

針金を使用している製本

接着剤を使用している製本

糸を使用している製本

その他

同じ綴じる素材でも、様々なタイプに分かれる製本方法。今回は上記12種類を、特徴だけでなく、どのような種類の本に向いているかも含めてご紹介します。

身近にある本の種類で選ぶ、作りたい本

12種類も綴じ方があると、作りたい冊子の形がどれにあたるのか、わかりづらいですよね。
そこで今回、身近な本である「雑誌、文庫本、絵本、カタログ、ノート、手作り本」から、綴じ方の種類をまとめてみました。それぞれの種類から作りたい冊子の形(綴じ方)のボタンを押すと詳しい説明がご覧いただけます。

雑誌

雑誌

文庫本

文庫本

絵本・写真集

絵本・写真集

カタログ・取扱説明書

カタログ・取扱説明書

ノート

ノート

手作りの本

手作りの本

※【上製本】は、綴じ方とは別で、表紙の素材をあらわす製本方法の名前です。また、今回【上製本】の記載がないものは【並製本】として掲載しております。

上製本並製本

  • 上製本・・・「ハードカバー」の本のこと
    ボール紙と呼ばれる厚紙を芯に作られた厚み1mm以上の表紙で、本文ページをくるみ仕上げられた高級感漂う製本方法。大人でも簡単には折り曲げられないほどの強度を持ち、小説の単行本や卒業アルバムなどに使われていることが多く、保管性が高い製本方法です。本製本とも呼ばれています。
  • 並製本・・・「ソフトカバー」の本のこと。
    本文用紙と同様の用紙や220kg程度の厚みの用紙が表紙となっており、上製本よりも製本工程が簡略化されているため、低価格・短納期で作ることができます。力をいらずに本を丸めることができ、文庫本や雑誌、カタログなど、身近な冊子に使われています。仮製本とも呼ばれています。
作ろうと思われていた冊子は、どの製本方法で作られたものでしたでしょうか?

ここから先は、綴じ方の種類を順番にご説明していきます。

綴じ方の主流であるのは「中綴じ」と「無線綴じ」

まずは冒頭でもご説明した、ネット印刷で取り扱いの多い、中綴じ冊子と無線綴じ冊子について説明していきます。

中綴じ(針金製本)

中綴じ冊子

中綴じは、見開きページの真ん中数カ所をホチキス【針金】で留めて仕上げる製本方法です。印刷会社の多くで取り扱われている製本方法であり、値段も安価に仕上げることができます。

中綴じ冊子の特徴として、ページを180°開くことができ、真ん中のページでは用紙を見開きのデザインで使えることがメリットです。ページ数は64ページぐらいまでの冊子に向いており、ネット印刷の冊子で一番ポピュラーな冊子になります。

◯使われている冊子 → 週刊誌、カタログ

無線綴じ

無線綴じ

針金や糸を使わずに、【接着剤】を使用して背をしっかりと固める製本方法です。本の背表紙にあたる背全体に接着剤を塗ることができるので、厚みが出る冊子などに向いており、ハードカバーの冊子を作られることもある綴じ方になります。
無線綴じは、「接着剤の種類」や「接着剤をつける前の処理」によって、さらに3種類に分類され、それぞれ対応できるページ数や強度が異なります。

1.無線綴じ

無線綴じ図解

ネット印刷で一般的に【無線綴じ】と記載があればこの製本方法をさします。無線綴じの特徴は、接着剤で固めているため、中綴じで留めるホチキスで対応できない144ページ程の厚みでも綴じることができることです。その反面、しっかりと背が接着剤に留められていることでページの開き具合は少し悪くなります。
接着剤は、エチレン酢酸ビニル(EVA)という合成樹脂でできた【ホットメルト】を使用。80℃から100℃の熱で融け、冷めると固まる性質を持ちます。

◯使われている冊子 → 雑誌、商品カタログ


2.あじろ綴じ

あじろ綴じ図解

通常の無線綴じよりもさらに厚みのある場合に使われる綴じ方で、200ページくらいのものにも対応できます。あじろ綴じは、接着剤をつける【背】の部分に細かく切り込みを入れ、より接着剤を深く染み込ませた綴じ方になり、無線綴じよりもさらに開きにくくなります。
一般的に、【あじろ綴じ】は希望して注文する綴じ方ではなく、ある程度の厚さを超えると、自動的に対応してくれる無線綴じの一種として取り扱うネット印刷会社が多いです。

◯使われている冊子 → 辞書、コミック誌


3.PUR製本

PUR製本図解

一般的な無線綴じで使われる接着剤ではなく、【ポリウレタンリアクティブ(PUR)】という特殊な接着剤を使用して背を固める綴じ方。
PUR接着剤を使用することで、通常の無線綴じとは異なる、以下の特徴を持つ製本方法です。

  • ページが開きやすい
  • ページ開閉の耐久性が高い
  • 高温に強い
  • リサイクル性が高い

あじろ綴じのように200ページほどの厚みでも綴じることができるうえ、中綴じのように180°きれいにページを見開くことができるハイブリッドな製本方法といえます。高価ではありますが、利便性がとても高く、PUR製本は今後伸びる可能性がある製本方法です。

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ちなみに無線綴じのことを、表紙を本文に巻き付ける製本方法から、別名「くるみ製本」ということがあります。でも、無線綴じじゃない「くるみ製本」もあるから、仕上がりが気になる場合は確認が必要です・・・ややこしい!

その他の綴じ方その1・教科書や絵本などによく使われている冊子

続いて、その他の綴じ方・製本方法をご紹介していきます。

平綴じ

平綴じ

平綴じは、背表紙の端から数センチほど余白をつけ、ホチキスで数カ所留める方法です。中綴じが【背の中心】にあたる部分を留めるのに対して、平綴じは背の近くの部分の【側面】を留めます。ホチキスが隠れるように表紙を「巻くタイプ」と、ホチキスをそのまま見せる「巻かないタイプ」の2種類あります。

会社用の大規模なプレゼン資料や36ページ程度の契約書などに見られる「巻かないタイプ」の平綴じ(資料印刷)は、機械によって印刷後から綴じまで一気に製造することもできるため、納期や価格をとても良心的に設定しているネット印刷が多いのも特徴です。

また、強度を強めるため、ホチキスで留める前に、背を接着剤で固める場合もあります。

◯使われている冊子「巻きあり」 → 学校の教科書、契約書 「巻きなし」 → 会社の資料、取り扱い説明書

糸綴じ

糸かがり冊子
糸を使用して綴じる方法で、糸の縫い方によって名前が異なります。
※上記画像は、背表紙の綴じ糸が色つきでわかりやすい本を掲載していますが、一般的に糸が隠れているものがほとんどです。


1.糸かがり綴じ(糸綴じ)

あや綴じ

「糸綴じ」=「糸かがり綴じ」のことを指している場合もあるほど、糸綴じの種類の中で一番メインの綴じ方になります。
ページの束を糸でかがって繋ぎ合わせた後、のりで固める綴じ方となり、今回紹介している綴じ方で一番強度が強いのが特徴です。さらに、ページを180°開くことができ、開閉に対する耐久性も高いため、絵本やスケジュール帳などに使われています。その強度から糸かがり綴じをしたあと、上製本にされることも多いです。
※糸かがり綴じの縫い方には種類があり、上記イラストは強度が高いと言われている「あや綴じ」という縫い方になります。

◯使われている冊子 → スケジュール帳、絵本、写真集、卒業アルバムなど


2.中綴じミシン製本

中ミシン綴じ

冊子の背の中心をミシン糸で縫う綴じ方。180°ページを開くことができるのでノートなどで活用されています。針金を使わない綴じ方になるので、怪我の心配もなく、強度も高い仕様になっています。
ミシンで縫う綴じ方になるため、最大でも32ページ程度の薄手の冊子に使うことができます。

◯使われている冊子→大学ノート

その他の綴じ方その2・見た目にとても特徴が出る製本方法

ここからの綴じ方は、見た目がとても特徴的を紹介します。今までの製本方法より取り扱っている会社は少ないです。

和綴じ

和綴じ

中国で発祥し、平安時代に日本へ伝わったことで、日本独自の発展を遂げた製本方法。和の雰囲気を演出したい冊子に向いており、お寺の経本や御朱印帳などに使われています。縫い目の模様には種類があり、その数は計り知れません。
手作業で製本されているため、日本の老舗製本所やごく一部のネット印刷会社にて注文できる希少な製本方法です。

◯使われている冊子 → 御朱印帳、和食屋さんのメニュー

コプト製本

コプト装

コプト製本は、歴史上、最も古い製本方法と言われている製本方法です。
【コプト】とはエジプトのキリスト教徒を指す単語であり、初期のキリスト教徒によって使われた製本方法になっています。
糸でかがって綴じる方法で、背表紙に出てくる絡ませる糸がくさり模様(チェーンステッチ)になる、特徴的なかがり方によって仕上げられています。
コプト製本はコプティック装とも呼ばれ、手作業の製本方法となるため、本作りのワークショップなどで作ることができます。

◯使われている冊子 → 手作りのフォトブックや作品集

クロス巻き

クロス巻き

クロス巻きは、様々な綴じ方をした冊子の背表紙を、クロス(テープ)で包んだタイプの本の製本のことです。テープの幅によって綴じられる幅が決まっています。

◯使われている冊子 → 伝票、大学ノート

アイレット(ループ)綴じ

めがね綴じ

めがね製本とも言うこの綴じ方の特徴は、本の外側にループ(輪)ができることで、冊子に穴をあけることなくファイルに挟んだり、壁にピンで飾ることができることです。カレンダーなどで利用されています。

◯使われている冊子 → 壁掛けカレンダー、企業の定期発行カタログ

リング製本

リング

リングのパーツで製本された冊子。リングノートやリングメモ帳などはこの製本方法で作られています。金属のワイヤー素材だけでなく、プラスチック製や紙製のリングパーツも存在しています。
ページを360°開くことができ、ページを開ききった状態を固定しながら書くことができるので、スケッチブックやメモとして使われる製本方法となります。

◯使われている冊子 → リングノート、リングメモ、カレンダー、スケッチブック

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見た目に特徴が出る、と言えば、糸かがり綴じの冊子画像に、綴じ糸が見えているものを使用したのですが、実はこれも特殊な製本のひとつとなります。
糸かがり綴じに、背表紙が付いてないものは「コデック装」と呼ばれます。

まとめ

いかがでしたか?

さまざまな製本方法の取り扱い、仕様、価格、納期は印刷会社によって大きく異なりますので、ご注意ください。
ご希望の製本方法が見つかった場合はあらかじめ問い合わせておきましょう。

ちなみに、キングプリンターズでは、中綴じ冊子、無線綴じ冊子を取り扱っておりますので、ぜひご活用くださいませ。

※上記以外の製本方法について、弊社では通常取り扱いがありません。予め、ご了承下さい。

この記事が本の制作を考えられているあなたのお役に立てば幸いです。