円形やハート型、星型など、四角ではない形の印刷物は、型抜き(トムソン)加工で仕上げられます。この加工をネット印刷に注文をする際は「印刷用のデータ」と「型抜き用のデータ」の2種類が基本的には必要です。
イベント会場でフライヤーを配布する際に、少しでも印象に残るようにしたい。
カフェや雑貨屋さんなどのショップカードが並んでいる場所で、他のものと差をつけて、できるだけ多くの人の手にとってもらいたい。
そんな風に思うことはありませんか?
上記のような方にオススメしたい方法のひとつが、「四角ではない形の印刷物に仕上げる」です。
長方形の印刷物と一緒に、他の形のチラシやショップカードが並んでいると、「違う形のものがある」と認識され、目に止まりやすくなりやすくなります。
ただ、型抜き用のデータは通常の完全データと作成方法が異なり、たとえばカットラインを指示する線の色が決まっていたり、太さが決まっているなどでややこしいもの・・・。
そこで今回の記事では、型抜き印刷を注文する際のデータ作成方法について、詳しく説明していきます。
記事の最後では、高額と思われがちな型抜き印刷を、少しお得にする方法も紹介していくので、ぜひご覧ください。
(※本記事にて記載しているネット印刷会社の情報は、2018年6月15日現在のものです。記載内容が変更になっている可能性があるため、最新情報は各サイトにてご確認ください。)
目次▼
型抜き加工の種類と得意・不得意
印刷会社によって異なる入稿データのまとめ方
印刷用データを作成する際の注意点
型抜きデータの作成の仕方と注意点
まとめ〜お得に印刷するためには〜
型抜き加工〜番外編!?〜
型抜き加工の種類と得意・不得意
型抜き加工は大きく分けると、型を使って用紙を「打ち抜き」して仕上げられる方法と、用紙を「カット」して仕上げられる方法の2種類に分かれます。
それぞれの方法にはメリット・デメリットがあり、それにより得意な形・不得意な形があります。
打ち抜きタイプ | カットタイプ | |
---|---|---|
イメージイラスト | ||
メリット | ・同時に筋入れや孔開けができる ・対応している用紙が多い |
・細かいデザインの再現がしやすい ・小部数でも比較的安い |
デメリット | ・繊細な型抜きは苦手 | ・大部数は時間がかかる |
打ち抜きタイプ・・・作成した型で用紙を打ち抜いて仕上げるタイプ。
トムソン抜き、ポンス抜きなどがあり、型を抜くと同時に、筋入れ加工なども入れることができます。
同じ型で繰り返し打ち抜いていけることや、ポンス抜きでは重ねた用紙を打ち抜くことができるため、大部数に対応しているものが多いのも特徴です。
しかし、打ち抜きタイプの型は、裁断するための一枚の刃を曲げて作っていくので、角になる部分は丸みをおびます。
そのため、鋭角や細かいデザインなどの型抜きデータのパスを、厳密に再現することができません。
また加工の特性上、型のつぎ目の箇所に「つなぎ」と呼ばれる、0.5mm以下のとても小さな紙のでっぱりができます。
カットタイプ・・・型を使わずに用紙を1枚ずつ切り抜いて仕上げていくタイプ。レーザーカットやプロッターカットがあります。
1枚ずつ仕上げていくため、時間がかかるのですが、細かい型抜きができるタイプです。
とくに、レーザーカットの場合は、繊細なレースのようなデザインも型抜きすることができます。
打ち抜くタイプと比較すると、大部数の場合は納期が長くなることや、レーザーカットの場合、紙質によっては縁に焦げたような跡が出ることがあります。
印刷会社によって異なる入稿データのまとめ方
型抜きの種類がわかった次は、データの入稿方法について。
型抜き加工を注文する場合、作成に使用できるソフトは「イラストレーター」のみになります。
「印刷データ」と「型抜きデータ」の2種類のデータ作成が必要な型抜き加工は、印刷会社によってデータを入稿する際のまとめ方が異なります。
そのまとめ方は、型抜きデータは別データとして作成するか、印刷用データ内で別レイヤーにして作成するかの2種類です。
さらに、仕上がりサンプルとして、印刷データと型抜きデータを重ねた状態のスクリーンショット画像もお願いする場合もあります。
弊社を含む4社で調査してみたところ、以下のようになりました。
型抜きデータ | 完成イメージ | |
---|---|---|
キングプリンターズ | 別データ | 必要 |
グラフィック | 別データ | 必要 |
WAVE | 別レイヤー | 不要 |
アドプリント | 別レイヤー | 不要 |
別データで入稿する場合の注意点は、2つのデータを作成する際に、作成サイズ(トンボの位置)がズレないようにしなければならないことです。
そのため、印刷データを作成したあと、そのデータをコピーして型抜き用データを作成するといいでしょう。
別レイヤーに分けて作成する際には、型抜きデータと印刷データが混同しないよう、あらかじめ印刷データはロックをかけておいてもいいかもしれません。
しかし、ロックしたままで入稿すると不備になる可能性があるので、最後は忘れずに解除するよう、ご注意ください。
印刷用データを作成する際の注意点
印刷用のデータを作成する際の注意点は、基本的な印刷データと同じです。
その中でとくに注意いただきたい不備は、用紙の中央などを打ち抜く場合の「塗りたし」です。
型抜き加工ではカットラインに対しても、塗りたし3mmが必要となるのですが、通常の印刷物にはない箇所のため見落としやすいポイントになります。
型抜きデータの作成の仕方と注意点
型データは、基本的な作成方法は共通しているのですが、細かい設定は印刷会社によって、多少異なります。
線の太さ | カットライン間の幅 | 孔開け最小サイズ | レーザーカット対応 | |
---|---|---|---|---|
キングプリンターズ | 0.1mm | 最小5mm | 直径1mm | × |
グラフィック | 0.1mm | 最小2.5mm | 直径2mm | ○ |
WAVE | 1Pt | 最小3mm | 直径1mm | ○ |
アドプリント | 指定なし | 最小1.5mm | 直径1.5mm | × |
たいていのネット印刷で、カットを指示する線の太さは「0.1mm」。
普段は線の太さの単位を「ピクセル」にしている方は、イラストレーターのメニュー内にある【環境設定】→【単位】→【線】で「ミリメートル」に設定できますよ!
線の太さやカットライン同士の間隔は、注文する印刷会社に合わせて作成ください。
ここからは、共通している基本的な型抜きデータの作成方法と、確認方法を説明していきます。
色はK100%の実線で作る。
カットラインは、K100%の実線で作成する必要があります。
そのためペンツールを使ってすきな形を描いていくのですが、忘れずにK100%に設定しましょう。
ちなみにグラフィック社様やWAVE社様の場合、C100%やM100%で指示すると、それぞれ筋入れ加工やミシン目加工の指示パスになります。
パスは最後まで囲う。
型抜きパスは、きちんと囲われた閉じられた形にしておかなければ型抜きされません。
以下のような手順によって、閉じられた状態(クローズパス)であるかを確認できます。
※閉じていないと、切れ目が入るだけであり、型抜きにはなりません。「切り込み加工」となってしまいます。
- 【ウィンドウ】の中にある【ドキュメント情報】画面を開きます。
- 描いたカットラインを選択。
- ドキュメント情報ウィンドウの右上・メニューボタンより、【オブジェクト】を選択します。
- パスが閉じられている場合は、1クローズパスと表示されます。
※閉じていない場合は、0クローズパスと表示されます。
アピアランス効果を使った場合は、忘れずにパス化しておく。
イラストレーターの効果を使って「角丸」や「破線」「ジグザグ」などの線を作成した場合、実際のトムソン型は効果が使われる前のパスの形になってしまいます。
そのため、効果を使った場合はアピアランスの分割や透明部分の分割を行い、アウトラインプレビューで見ても変化のない、実際のパスにしておきましょう。
アウトラインプレビューは、【表示】→【アウトライン】で確認できます。
型抜きと同時にできる筋入れ加工は山折りのみ。
筋入れ加工の機械は、加工した面が山折りになるようにできています。
打ち抜き加工と同時に筋入れ加工を入れる場合、指示したラインは山折りとなるため、間違えないようにしましょう。
レーザーカットの型抜き加工の場合、熱で焼いていくためパスよりも少し幅のあるカットラインとなり、型抜き指示サイズよりもほんのわずかに小さくなります。
そのため、気になる方は0.3mmほど大きいサイズに作成しておくことがオススメです。
まとめ〜お得に印刷するためには〜
四角ではない形の印刷物を作ることができる「型抜き加工」についてご紹介していきましたが、正直なところ「ややこしいかも・・・」と思われた方もいるのではないでしょうか。
そんな方へ朗報です。
オリジナルのデザインではありませんが、印刷会社によっては定形化された型抜きデザインがあり、それを利用すれば型抜きデータを作らず四角ではない形の印刷物を作成できます。
この方法を使うことで型のデータ作成が不要となるだけでなく、型にかかる費用がいらないため、お得に注文できるのも嬉しいポイントです。
ちなみにキングプリンターズでは、円形のフライヤーを作成する場合、専用のテンプレートをご用意しているので型抜き用データの作成が不要です。
つまり、型代をかけずに円形のチラシを印刷いただけます!
(円形フライヤーはこちらより詳細をご覧いただけます。)
ぜひ四角ではない、特別な形のフライヤーやショップカードをチャレンジしてみてください!
型抜き加工〜番外編!?〜
円形フライヤー以外にも、キングプリンターズでは四角ではない印刷物を作成できる商品があります。
それは紙うちわです!!
弊社の紙うちわは、「円形」「ハート型」「ねこ・いぬ型」「くま型」「ユニホーム型」のなんと5種類の型をご用意しております♪
しかもアイディア次第で、この5種類の型がさまざまなモチーフとしてお使いいただけます。
もちろんデザインテンプレートの中にはそのバリエーションも豊富ですよ☆
簡単に作成することもできる紙うちわを夏の販促チラシとして利用しませんか?
デザインテンプレートはこちらよりご覧いただけます。↓